最高速度は時速40キロ、英国で「世界最速」の電動自転車が発売
環境意識の高まりやガソリン価格の高騰から、世界的に注目を浴びている電動自転車。日本では電動アシスト自転車の人気が高まっており、昨年には初めて原動機付自転車(スクーター)の販売台数を上回った。その一方で、ペダルを漕がなくても原動機のみで走行できる「フル電動自転車」が問題化しており、今年3月には警察庁がこのフル電動自転車を原動機付自転車として認定し、運転免許の所持や方向指示機などの必要な機器を備えなければ、道路交通法違反として検挙することを決定。普及が広がっていた大阪府で一斉摘発が行われ、使用していた市民が驚く様子がニュースで伝えられた。
こうした中、英国で「世界最速」の電動自転車「A2B METRO」が発売された。英ウルトラ・モーターが開発したこの電動自転車は通常、ペダルを漕がないと走行できないが、「ブースターボタン」を押すと、ペダルを漕がずに最高スピードは時速40キロに達するという。つまり、「フル電動自転車」としても使用できるようだ。
英国では、時速24キロを超えて動力を発生させると原動機付自転車とみなされる。「A2B METRO」も日本の電動アシスト自転車と同様に時速24キロを超えると電力補助が切られる仕組みになっているそうだが、英紙デイリー・メールは「ブースターボタン」を使うと容易に時速24キロ以上が出せるため、英国内では電動アシスト自転車か原動機付自転車かの解釈に混乱が生じたと紹介している。
しかし、英交通当局が「公道で時速24キロを超えるスピードを出さなければ、自転車とみなす」という見解を示したことから、「A2B METRO」は電動アシスト自転車として発売される運びになった。サン紙は「私有地内なら時速40キロを体験できる」と伝えている。
自転車として世界最高速度が出せる「A2B」、フル充電に5時間、走行可能距離は32キロで、日本の電動自転車に比べても電池の性能面にあまり大きな違いは見られない。しかし、価格は2000ポンド(約30万円)とかなり高めだ。デイリー・メール紙に寄せられたコメントには「ぜひ乗ってみたい」「素晴らしい」という意見もあるが、「私が買った600ccのオートバイより高い」「街中で走るのは危険では?」「警察は時速24キロをきちんと測定するのか」などの懸念もあり、賛否は半々といったところ。ウルトラ・モーター社の電動自転車はすでにインドや米国などで高い人気を呼んでいるが、本国でもヒットするのか、注目だ。
A2B METRO