キネマ旬報ベスト・テンで「おくりびと」が4冠、外国映画1位は「ノーカントリー」
日本映画界の今年度賞レースで本命視されている滝田洋二郎監督の「おくりびと」。すでに報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ヨコハマ映画祭で作品賞などを受賞しているが、キネマ旬報社の第82回キネマ旬報ベスト・テンでも日本映画1位に輝いた。また、監督賞や脚本賞(小山薫堂)、主演男優賞(本木雅弘)も受賞し、前回の「それでもボクはやってない」(周防正行監督)同様、4冠を達成している。
キネマ旬報ベスト・テンは1924年開始と、米アカデミー賞(1929年開始)よりも長い歴史を持ち、多くの映画ファンから信頼を得ている賞。邦画だけでなく、日本で公開された洋画も対象となっている。
「おくりびと」は遺体を棺におさめる仕事を始めた元チェロ奏者が、納棺師の仕事や死の尊厳に目覚めていく姿を描いた作品。上記のほか、カナダのモントリオール世界映画祭(グランプリ)や中国の金鶏百花映画祭(国際映画部門作品賞、監督賞、主演男優賞)など海外の賞でも高く評価された。
日本映画の2位は「ぐるりのこと。」(橋口亮輔監督)で、以下、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(若松孝二監督)、「トウキョウソナタ」(黒沢清監督)、「歩いても 歩いても」(是枝裕和監督)などが続いている。また外国映画では、アカデミー賞4冠をはじめ昨年度の映画賞を総ナメにした「ノーカントリー」(ジョエル&イーサン・コーエン監督)が1位となっている。
[キネマ旬報ベスト・テン]
【日本映画】
1位 「おくりびと」(滝田洋二郎監督)
2位 「ぐるりのこと。」(橋口亮輔監督)
3位 「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(若松孝二監督)
4位 「トウキョウソナタ」(黒沢清監督)
5位 「歩いても 歩いても」(是枝裕和監督)
6位 「闇の子供たち」(阪本順治監督)
7位 「母べえ」(山田洋次監督)
8位 「クライマーズ・ハイ」(原田眞人監督)
9位 「接吻」(万田邦敏監督)
10位 「アフタースクール」(内田けんじ監督)
【外国映画】
1位 「ノーカントリー」(ジョエル&イーサン・コーエン監督)
2位 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
3位 「ダークナイト」(クリストファー・ノーラン監督)
4位 「イントゥ・ザ・ワイルド」(ショーン・ペン監督)
4位 「ラスト、コーション」(アン・リー監督)
6位 「イースタン・プロミス」(デビッド・クローネンバーグ監督)
7位 「その土曜日、7時58分」(シドニー・ルメット監督)
8位 「エグザイル/絆」(ジョニー・トー監督)
9位 「つぐない」(ジョー・ライト監督)
10位 「チェチェンへ アレクサンドラの旅」(アレクサンドル・ソクーロフ監督)
【各賞】
監督賞 滝田洋二郎(「おくりびと」)
脚本賞 小山薫堂(「おくりびと」)
主演男優賞 本木雅弘(「おくりびと」)
主演女優賞 小泉今日子(「トウキョウソナタ」「グーグーだって猫である」)
助演男優賞 堺雅人(「クライマーズ・ハイ」「ジャージの二人」)
助演女優賞 樹木希林(「歩いても 歩いても」「宮城野」)
新人男優賞 井之脇海(「トウキョウソナタ」)
新人女優賞 甘利はるな(「コドモのコドモ」「ブタがいた教室」)
外国映画監督賞 シドニー・ルメット(「その土曜日、7時58分」)、ショーン・ペン(「イントゥ・ザ・ワイルド」)
キネマ旬報社