今回の作品賞受賞最右翼は、米映画批評会議賞（ナショナル・ボード・オブ・レビュー； NBR）、ニューヨーク映画批評家協会賞、シカゴ映画批評家協会賞、ブロードキャスト映画批評家協会賞などを受賞した「ノーカントリー」。ロサンゼルス映画批評家協会賞などの作品賞に輝いた「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、ゴールデングローブ賞受賞作「つぐない」が対抗馬となっている。ニューヨークオンライン映画批評家協会賞などを受賞したジュリアン・シュナーベル監督の「潜水服は蝶の夢を見る」は作品賞の候補にはならず、監督賞など4部門のノミネートにとどまった。

　一方、主演男優賞はNBRを制したジョージ・クルーニー（「フィクサー」）や、ゴールデングローブ賞（ドラマ部門）を受賞したダニエル・デイ＝ルイス（「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」）のほか、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」に主演したジョニー・デップもノミネート。ゴールデングローブ賞（ミュージカル／コメディ部門）に続いてオスカーも初獲得できるか、注目だ。

　主演女優賞は、NBR、ブロードキャスト映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞（ドラマ部門）を受賞したジュリー・クリスティ（「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」）を筆頭に、ゴールデングローブ賞（ミュージカル／コメディ部門）を受賞したマリオン・コティヤール（「エディット・ピアフ／愛の賛歌」）らがノミネート。ケイト・ブランシェットは「エリザベス：ゴールデン・エイジ」で主演女優賞、「アイム・ノット・ゼア」で助演女優賞のダブル候補となった。また、アニメ作品ながら、「レミーのおいしいレストラン」が5部門の候補となっている。

　授賞式は2月24日（日本時間2月25日）。今回は米脚本化組合によるストライキの影響で開催が危ぶまれているが、無事に開かれることを祈りたい。外国語映画賞の候補となった浅野忠信主演の「MONGOL」や、2年連続でメイクアップ賞の候補となった辻一弘の受賞にも期待だ。

［第80回アカデミー賞ノミネート］
◇作品賞
「つぐない」
「JUNO／ジュノ」
「フィクサー」
「ノーカントリー」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

◇主演男優賞
ジョージ・クルーニー （「フィクサー」）
ダニエル・デイ＝ルイス （「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」）
ジョニー・デップ （「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」）
トミー・リー・ジョーンズ （「告発のとき」）
ヴィゴ・モーテンセン （「EASTERN PROMISES」）

◇主演女優賞
ケイト・ブランシェット （「エリザベス：ゴールデン・エイジ」）
ジュリー・クリスティ （「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」）
マリオン・コティヤール （「エディット・ピアフ～愛の讃歌～」）
ローラー・リニー （「THE SAVAGES」）
エレン・ペイジ （「JUNO／ジュノ」）

◇助演男優賞
ブラッド・ピット（「ジェシー・ジェームズの暗殺」）
ハビエル・バルデム （「ノーカントリー」）
フィリップ・シーモア・ホフマン （「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」）
トム・ウィルキンソン （「フィクサー」）
ハル・ホルブルック （「INTO THE WILD」）

◇助演女優賞
ケイト・ブランシェット（「アイム・ノット・ゼア」）
ルビー・ディー（「アメリカン・ギャングスター」）
シーアシャ・ローナン（「つぐない」）
エイミー・ライアン（「GONE BABY GONE」）
ティルダ・スィントン（「フィクサー」）

◇監督賞
ジュリアン・シュナーベル （「潜水服は蝶の夢を見る」）
ジェイソン・ライトマン （「JUNO／ジュノ」）
トニー・ギルロイ （「フィクサー」）
ジョエル＆イーサン・コーエン兄弟 （「ノーカントリー」）
ポール・トーマス・アンダーソン （「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」）

◇外国語映画賞
「ボーフォート －レバノンからの撤退－」（イスラエル）
「THE COUNTERFEITERS」
「KATYN」
「MONGOL」
「12」

◇長編アニメーション賞
「ペルセポリス」
「レミーのおいしいレストラン」
「サーフズ・アップ」

◇脚本賞
「JUNO／ジュノ」
「LARS AND THE REAL GIRL」
「フィクサー」
「レミーのおいしいレストラン」
「THE SAVAGES」

◇脚色賞
「つぐない」
「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」
「潜水服は蝶の夢を見る」
「ノーカントリー」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

◇撮影賞
「ジェシー・ジェームズの暗殺」
「つぐない」
「潜水服は蝶の夢を見る」
「ノーカントリー」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

◇編集賞
「ボーン・アルティメイタム」
「潜水服は蝶の夢を見る」
「INTO THE WILD」
「ノーカントリー」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

◇音響編集賞
「ボーン・アルティメイタム」
「ノーカントリー」
「レミーのおいしいレストラン」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
「トランスフォーマー」

◇作曲賞
「つぐない」
「君のためなら千回でも」
「フィクサー」
「レミーのおいしいレストラン」
「決断の3時10分」

◇録音賞
「ボーン・アルティメイタム」
「ノーカントリー」
「レミーのおいしいレストラン」
「決断の3時10分」
「トランスフォーマー」

◇視覚効果賞
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
「パイレーツ・オブ・カリビアン／ワールド・エンド」
「トランスフォーマー」

◇美術賞
「アメリカン・ギャングスター」
「つぐない」
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

◇メークアップ賞
「エディット・ピアフ～愛の讃歌～」
「マッド・ファット・ワイフ」
「パイレーツ・オブ・カリビアン／ワールド・エンド」

◇衣装デザイン賞
「ACROSS THE UNIVERSE」
「つぐない」
「エリザベス：ゴールデン・エイジ 」
「エディット・ピアフ～愛の讃歌～」
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

◇長編ドキュメンタリー賞
「NO END IN SIGHT」
「OPERATION HOMECOMING: WRITING THE WARTIME EXPERIENCE」
「シッコ」
「闇へ」
「WAR/DANCE」

◇短編ドキュメンタリー賞
「FREEHELD」
「LA CORONA（THE CROWN）」
「SALIM BABA」
「SARI'S MOTHER」

◇短編アニメ賞
「I MET THE WALRUS」
「MADAME TUTLI-PUTLI」
「MEME LES PIGEONS VONT AU PARADIS（EVEN PIGEONS GO TO HEAVEN）」
「MY LOVE（MOYA LYUBOV）」
「PETER & THE WOLF」

◇短編映画賞
「AT NIGHT」
「IL SUPPLENTE（THE SUBSTITUTE）」
「LE MOZART DES PICKPOCKETS（THE MOZART OF PICKPOCKETS）」
「TANGHI ARGENTINI」
「THE TONTO WOMAN」

アカデミー賞 公式サイト－英文－