「ムツゴロウ動物王国」故郷の北海道に帰る、経営不振で東京の施設は11月末で閉鎖へ
「動物と触れ合う」をコンセプトに、畑正憲が北海道の大地に開園した「ムツゴロウどうぶつ王国」。一般に公開される施設ではなかったが、1980年から21年間に渡ってフジテレビで放送されていた特番「ムツゴロウと愉快な仲間たち」の効果もあり、長年動物好きを虜にしてきた。だが、2001年にフジテレビが特番の放送を止めたことで、メディアへの露出が激減。そのため、より一般の人と動物が身近に触れ合えることを目的に、2004年に東京都あきる野市に「東京ムツゴロウ動物王国」を開園(事実上の移転)していたが、この施設も11月末で閉鎖して北海道に戻ることになった。
「東京ムツゴロウ動物王国」は2004年7月28日に、プールを中心としたテーマパーク「東京サマーランド」内(敷地面積約9万平方メートル)にオープン。当初、年間50万人の集客を目標に掲げていたが、立地の悪さやPR不足のためか開園直後から苦戦が伝えられ、1年目は12万人、2年目は10万人、そして3年目は9万人弱と、思い描いていた構想とはかけ離れた現実が待ち受けていた。
2005年秋頃にはすでに、運営会社のグローカル21の経営が悪化。「東京サマーランド」への賃貸料や給料の未払いが続き、2006年6月には立ち退きを求められ、結局グローカル21は約8億円の負債を抱えて経営破綻してしまった。その後、畑正憲が代表を務めるムツプロが「東京ムツゴロウ動物王国」を引き継ぎ、運営を続けていたが、状況は改善されなかったようだ。
公式ホームページには、「ムツゴロウ動物王国は北の地へ戻ります」と題したコメントが発表されている。「急ぎ足のお知らせとなりますが、ムツゴロウ動物王国は東京での活動にひとつの区切りをつけ、王国活動の原点の地、北海道に戻ることにいたしました。動物たちとともに、北の地で「ムツゴロウ動物王国」は、さらなる展開を期します。その様子は、ホームページにおきまして、逐次、報告をさせていただきます。いつか、北海道でまたお会いする日を、動物たち共々楽しみにしております」と、北海道再移転後の展望については、詳しい情報は明らかにされていない。
純粋に一般の人が動物と触れあえる施設を目指していただけに、わずか3年半での東京からの「撤退」は残念だ。そして、私財を投げ打って「東京ムツゴロウ動物王国」の維持に努めた畑正憲の無念さは計り知れない。営業は11月25日まで無休で続けられ、感謝イベントも実施されるようなので、「東京ムツゴロウ動物王国」の最後の姿を見に行ってみてはどうだろうか。
東京ムツゴロウ動物王国